空調服・ファン付き作業着を購入する前に、使い方を把握しておきたい人もいるでしょう。そこでこの記事では、空調服・ファン付き作業着の使い方を準備編と稼働編に分けて解説します。
前半ではメーカー・ブランドを問わず共通して必要なもの、後半ではより快適に使う方法も紹介するのでぜひ参考にしてください。
(※)空調服®は株式会社空調服の登録商標。一般的な名称はファン付き作業着。本記事では便宜上、ファン付き作業着の意味で「空調服」と記載しています。
空調服を利用するには次のアイテムが必要です。
・ウェア
・ファン
・バッテリー
・各種ケーブル
ファン・バッテリー・ケーブルなどのデバイスは同じメーカーのものであっても、型番によって互換性の有無が異なります。また、ウェアも装着可能なデバイスのメーカー・ブランドが決まっているため、確認してから購入しましょう。
互換性・対応メーカーの詳細はこちらの記事をご覧ください。
それでは、空調服の使い方を4つのステップに分けて解説します。
バッテリーをフル充電するには急速充電仕様でも4時間程度、一般的な仕様なら8時間程度かかるため、しっかり充電しておきましょう。たとえば空調服®のバッテリーBT23212やBT23232の場合、アダプターのランプが赤から緑に変わると充電完了です。
なお、大風量・高電圧で設定していると持ち時間が短くなるため、長時間作業になる場合は控えのバッテリーも充電しておくことをおすすめします。
ファンからリングを取り外し、ファンの方をウェアの外側から差し込んで穴の部分にはめます。ファンの向きは膨らみのある側、つまり、風を送る向きが服の内側になるようにしましょう。その後、今度はリングをウェアの内側から差し込み、ファンに被せて固定します。
固定方法には、カチッと音が鳴るまで押し込むタイプと、瓶の蓋のように回し込むタイプがあります。メーカーによって異なるため、確認しておきましょう。
充電済みのバッテリーとファンをケーブルでつなぎます。作業中に外れないよう、プラグを回して接続するタイプが多いので、しっかり固定されたかを確認しましょう。
また、ファンジャック部分にあるクランプで、しっかり固定することも大切です。ウェア側にケーブルの通し穴やフックがある場合には、これも活用しましょう。ケーブルのもたつきがなくなるため、快適に使いやすくなります。
ウェアに付いているバッテリー用のポケットにバッテリーを収納します。ウェアにポケットがない場合は、バッテリ―ケースを購入しましょう。バッテリ―ケースはボトムのベルト通しなどに装着して使います。バッテリーを装着したら、準備は完了です。
空調服・ファン付き作業着を稼働させるための操作はバッテリー側でおこないます。実際のバッテリーの操作手順をもとに解説します。
空調服®やバートルのバッテリーは電源ボタン長押しでONになる仕様です。また、起動してもなお長押しすると電源が切れます。荷物の中などで長押しされてしまった場合の誤動作を防ぐためです。
空調服®のBT23211とバートルのエアークラフトAC210を例に、出力設定方法を解説します。
空調服®のバッテリーでは出力段階を電圧ではなく番号で表示します。数字が小さいほど高出力なので間違えないようにしましょう。BT23211におけるターボモードは最初の20秒だけ18Vで稼働しウェア内の熱を一気に排出、その後4分40秒を16Vで稼働してから12Vに自動移行するモードです。
バートルのAC210では赤ランプが出力段階を示しています。10Vで設定すると1時間後に9Vへ自動移行します。緑ランプは電池残量表示です。電池残量20%ごとの段階で表示されています。
機種によって操作方法は異なるため、購入したら取り扱い説明書を確認しましょう。取り扱い説明書を紛失したときは、「(型番) 取扱説明書」で検索すれば、PDFなどのダウンロードページが出てくるはずです。
バッテリーの寿命を長持ちさせたいなら、0%まで使い切らないことをおすすめします。高出力で稼働させていると気づかぬうちに0%になってしまうことがあるため、バッテリー残量を確認しつつ出力設定を調整しましょう。
参考として、バートルのバッテリーAC210をフル充電したときの連続稼働時間を紹介します。
電源ボタンを長押しするとOFFになります。作業中にオフになってしまうのを避けるための長押し仕様です。ファンが止まったことを確認してから、ファンと接続するプラグを外して充電しましょう。
空調服を選ぶときのコツと快適に使い続けるためのポイントを解説します。
空調服で涼しく過ごせるのは、送られた風によって熱と湿気を外に排出できるからです。つまり、風の通り道を確保できないと十分な効果を発揮できません。ワンサイズ大きめを選ぶことで、体とウェアの間に隙間ができ、風が十分に巡るようになります。
ただし、大きすぎるサイズを選ぶと風が内部で循環せず、一部分から出ていってしまう可能性があります。大きすぎても効果が薄くなるので、ヌードサイズからワンサイズ上がおすすめです。そのほかの選び方も知りたい方は次の記事をご覧ください。
ファン部分に埃や粉塵が蓄積していると、送風量が低下します。ファンの汚れは定期的に落としましょう。水洗い可能なタイプはメンテナンスが容易なのでおすすめです。非対応のタイプの場合は、掃除用ブラシ・綿棒・硬く絞った雑巾などで汚れを落としましょう。
また、バッテリーの劣化によって電圧が下がっていると送風量も低下します。バッテリーには寿命があるため、パフォーマンスが落ちてきたら買い換え時です。
空調服・ファン付き作業着を正しく使えば、暑い現場でも快適に過ごせるようになります。しかし、ファンやプラグの接続が甘かったり、バッテリーを十分に充電できていなかったりすると、故障や稼働停止になることがあるため注意しましょう。
また、出力電圧を高出力に設定すると、電気の持ち時間が短くなります。出力電圧ごとの連続稼働時間を確認し、作業時間中に停止しないように設定を調整するのがおすすめです。
快適性を保つためには、ウェアのサイズやファンのメンテナンスも重要です。もっと涼しく使う方法を知りたい方は、次の記事をご覧ください。