夏の気温が厳しさを増す中、炎天下や高温な環境下で働く従業員の健康リスクが懸念されています。エアコンの設置などと比べて、空調服(ファン付き作業着)は導入しやすい対策のひとつですが、全従業員分となると費用負担が気になるところでしょう。
そこで今回は、空調服・ファン付き作業着の導入に使える補助金制度を紹介します。全国で活用できる2つの制度と地域別の制度を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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地域を問わず活用できる補助金には次の2つがあります。
エイジフレンドリー補助金
安全衛生設備等設置に対する補助金
それぞれの対象事業・補助金額・申請受付期間等の諸条件を掲載しているので、ぜひご覧ください。
厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」
エイジフレンドリー補助金は、60歳以上の労働者の労働災害防止を目的とした補助金制度です。総合対策コース・職場環境改善コース・運動指導コースがあります。
空調服・ファン付き作業着の導入で申請できるコースは「職場環境改善コース(熱中症予防対策プラン)」です。商品購入額の2分の1、上限100万円が補助されます。たとえば、40,000円で空調服を購入した場合、20,000円が補助されるということです。
あんしん財団「職場の環境改善のための補助金制度について」
「安全衛生設備等設置に対する補助金」は、あんしん財団の会員(※)向けの補助金です。あんしん財団は特定保険業の認可を受けた一般財団法人で、中小企業を対象とした福利厚生サービスやケガの補償、災害防止サービスを提供しています。
空調服・ファン付き作業着のウェア・ファン・バッテリーを一括購入した場合に限り、補助金が支払われます。補助金額は加入者数によって変動し、上限額は費用の2分の1です。変動金額は次の表をご覧ください。
以降、10人増加ごとに20,000円が上限額に追加されます。
(※)1人あたりの会費は月額2,000円(うち保険料1,700円)
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続いて、地域限定の補助金サービスを紹介します。2025年度分は申請受付が終了しているものもありますが、来年度以降の参考にしてください。
草加市「草加地域経済活性化事業2025」
草加市では市内の事業者を対象に、作業現場で働く人の労働環境を良くするための取り組みに対して補助金を支給しています。
暑さ・寒さ対策として導入されるファン付き作業服や冷却ベストなどの購入費用が補助の対象になります。
高崎市「職場環境改善事業補助金」
高崎市では、事業者が従業員のために実施する「暑さ・寒さ対策」として、職場への空調設備などの設置にかかる経費の一部を補助しています。
これまでは業務用エアコンや遮熱・断熱工事の費用が対象でしたが、令和7年度からは、工場などの事業所で使用するファン付き作業服の導入も補助対象に加わりました。
富山市「富山市工場等作業負荷軽減支援事業補助金」
富山市内で事業を営む中小企業者向けの補助金のうち、「工場等作業負荷軽減支援事業補助金」では、ファン付き作業着の購入も補助対象となっています。
藤枝市では、中小企業等への入職促進や労働者の定着を図るため、労働環境の改善に取り組んだ事業所に対して補助金を交付しています。
ファン付き作業着は「従業員の熱中症対策に寄与する次に掲げる物品の購入に係る経費」に該当します。申請額は2万5千円が上限です。
藤枝市内の業者から購入することが条件となっており、物品購入日の14日前までに申請書を提出する必要があります。
久万高原町「久万高原町空調服等導入事業補助金交付要綱」
久万高原町では、安心・安全な農作業の実現と地域農業の継続・発展を目的に、労働環境の改善につながる被服として空調服の導入費用を補助しています。
空調服を購入した日から10日以内に申請する必要があります。
秦野市シルバー人材センター「空調服購入費助成要領」
公益社団法人秦野市シルバー人材センターの正会員が、作業で使用するために購入した空調服については、購入費の一部が助成されます。なお、申請には空調服を購入した際の領収書などの書類提出が必要です。
京都府「就労環境改善サポート補助金」
京都府が実施している、勤怠管理と暑熱・寒冷対策を目的とした設備導入の費用を補助する制度です。業種別の資本金や従業員数の基準を満たせば、個人事業主も申請できます。
福井県が県内の建設産業向けに実施している補助金制度です。複数あるコースのうち、就業環境改善コースが空調服の購入を対象としています。
空調服・ファン付き作業着の購入時に、補助金を活用すれば費用負担を軽減できます。ただし、制度によって対象となる事業所や従業員の年齢などに違いがあるため、申請要綱はしっかり確認しましょう。
また、事業所を管轄する自治体の補助金制度を、定期的にチェックすることも大切です。とくに、自治体の予算が限られている場合は、予定していた申請期限よりも早く受付を修了することがあります。
ぜひ補助金も活用しながら、空調服・ファン付き作業着の導入などの熱中症対策を心掛けましょう。