空調服を使用していると、バッテリーの持ちが悪くなる、充電に時間がかかりすぎるなど、調子が悪いと感じることもあるのではないでしょうか。
この記事では、空調服のバッテリーの平均寿命、寿命が近づいたときの症状を解説します。バッテリーを長持ちさせるためのコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
空調服のバッテリーの平均寿命は2~3年とされています。これは暑い時期の5~9月の期間で平日ほぼ毎日使用した場合の寿命です。高温の機器などを使用する工場などで季節を問わず使用する場合には、寿命は1年半ほどに縮まります。
また、使用状況や環境によっても寿命は左右されます。たとえば、夏場の高温な車内にバッテリーを置き忘れると、爆発しなくても寿命は縮むため注意が必要です。その他のNG行動については後半で詳しく解説します。
一般的なリチウムイオン電池は、0%から100%まで充電することを1回として、充電回数500回が寿命の目安とされています。ただし、充電回数とは別の要因でも寿命は縮むため、あくまでも目安です。
なお、バッテリー残量が50%の状態から100%まで充電した場合は、0.5回としてカウントされます。そのため、コンセントに差した回数が500回に達すると寿命を迎えるというわけではありません。
空調服のバッテリーが消耗してくると、下記のような症状が出てきます。ひとつずつ詳しく解説しますので、バッテリーの寿命を判断する際の参考にしてみてください。
・充電の減りが早い
・充電時間が長くかかる
・バッテリー本体が過熱しやすくなる
・バッテリー本体が膨張している
・ボタンや接続部分の不具合がある
100%まで充電しても、以前より充電の減りが早くなり、0%になるまでの時間が短く感じるようになった場合、バッテリーの寿命が近い可能性があります。これは、リチウムイオン電池は劣化すると最大充電容量が減少するためです。
一般的に、リチウムイオン電池は「最大充電容量が50%にまで低下した状態」を寿命としています。充電の減りが早くなるのは満充電自体が減っているからであり、バッテリー劣化のサインと考えられます。
1回の充電にかかる時間が長くなるのも、バッテリー寿命が近づいているサインだと言われています。バッテリーが劣化すると、内部で化学的・物理的な変化が起こり、充電効率が低下するためです。電極材料や電解液の劣化に伴い、内部抵抗が増加し、電流の流れがスムーズにいかなくなることが原因です。
充電がなかなか終わらないと感じたら、バッテリーの寿命を疑ってみましょう。
バッテリーの寿命が近づくと、内部抵抗が増加し、充電や放電時にエネルギーが熱として放出されやすくなります。電極材料や電解液が劣化することで、化学反応が正常に行われなくなり、電流が流れる際に余分な熱が発生しやすくなるためです。
充電中に少し熱を感じる程度であれば仕様の範囲内ですが、過度に熱くなる場合はバッテリーの劣化が原因だと考えられます。場合によっては故障や発火などのリスクもありますので、バッテリーの交換を検討してもいいかもしれません。
バッテリーの劣化が進むと、バッテリー本体が膨張してくることがあります。これはバッテリー内部での化学反応が乱れ、ガスが発生するためです。
一度膨張したバッテリーは、元に戻ることはありません。そのまま使い続けると、発火や発煙、爆発などの危険性があります。なるべく早めに廃棄し、新しいバッテリーを購入しましょう。
空調服を使っているうちに、バッテリーに付いているボタンが本体にめり込んだり、ケーブルなどの接続部分が曲がったりすることがあります。容量や充電時間などのリチウム電池自体に問題がなくても、外側のケース部分に不具合があらわれれば買い換え時です。
また、落下の衝撃や圧迫による負荷などの外部要因でバッテリーの寿命が短くなることもあります。変形や不具合が見られる場合は、ケーブルやファンに悪影響を及ぼしかねません。このような状態になった場合、故障のリスクを避けるためにも、早めにバッテリーを交換するべきでしょう。
ここでは、空調服のバッテリー寿命を縮めてしまうNG行動についてご紹介します。バッテリーは、保管方法や充電の仕方によって劣化のスピードが大きく変わります。知らないうちにバッテリーを傷めてしまっていないか、ぜひご自身の使い方を確認してみてください。
バッテリーが加熱したときはすぐに冷やしたくなりますが、、冷蔵庫で冷やすのは誤った方法です。急速に冷やすと、バッテリー内部に結露が発生し、錆やショートの原因となってしまいます。
劣化を防ぐどころか、逆に故障のリスクが高まり、寿命を縮めることになりかねません。保冷剤の使用も含め、急速な冷却は避けるようにしましょう。
電池残量30%未満で長期保管すると、自然放電(自己放電)によって完全放電する可能性があります。充電ランプを点灯させる電力もない状態なので、充電プラグを差し込んでもしばらくは反応しなくなるでしょう。
完全放電はバッテリーを劣化させる要因となるため注意が必要です。場合によっては再充電が不可能になることもあります。
過充電とは100%充電されてもなお充電を続けることで、100%を超える電気をバッテリーがため込もうとする状態を指します。
過充電になると、電池の許容量を超えるリチウムイオンが放出され、バッテリー内部の状態が不安定になります。電池の劣化が進みやすくなるため注意が必要です。
ここでは、空調服のバッテリーの寿命をできるだけ長く保つための使用方法やコツについて紹介します。空調服のバッテリーは高価なものが多いため、なるべく長く使い続けられるよう、ぜひ工夫してみてください。
まずは空調服の試用期間中のコツについて紹介します。
空調服のバッテリーは、充電が完了したらなるべく早くコンセントを抜き、電源アダプターから外すようにしましょう。過充電によるバッテリーの劣化を防ぐためです。
例えば、充電に8時間かかるバッテリーであれば、夜寝る前に充電をセットし、朝起きたらすぐに外すようにするなど、過充電にならないよう気を付けましょう。
空調服のバッテリーは、ウェアのバッテリー収納ポケットに入れて使用しますが、業務中に思わぬ衝撃を受けたり、うっかり落としてしまうこともあるかもしれません。そうした衝撃がバッテリーの故障や劣化の原因になることも考えられます。
バッテリーケースに入れておくことで、万が一の衝撃を和らげることができます。空調服メーカーから販売されているバッテリーケースは、対応機種によって形状が変わります。必ずお手持ちのバッテリーの品番に合ったものを選んでください。
続いては、オフシーズンに空調服やバッテリーを長期保管する際のポイントについて解説します。
気温15~25度が空調服のバッテリー保管に適した温度です。加熱による劣化を防ぎ、寿命を長く保てます。ただし。室温が適していても直射日光が当たる場所では、バッテリーが加熱するリスクがあります。気温変化の少ない暗所で保管しましょう。
自宅なら玄関収納や納戸、押し入れ、クローゼットなどが適しています。屋外の物置や会社の倉庫、車載の場合は外気温の変化を受けやすいため注意が必要です。
空調服のバッテリーは、湿気の多い場所で保管しないようにしましょう。湿度が高い環境に置いておくと、バッテリー内部に結露が発生しやすくなるからです。
結露によって水分が付着すると、サビやショートの原因となり、故障や劣化を引き起こす可能性があります。特に長期保管の際は、手洗い場や脱衣所などの水場に近いところを避けることが大切です。
長期保管でバッテリーを劣化させないためには、電池残量を30~50%に保つことが大切です。バッテリーは1年で10%程度自然放電するため、充電60~80%で保管を開始することを心がけましょう。
ただし、バッテリーの経年劣化具合によっては消耗が激しい可能性もあります。念のために3カ月に1回を目安として、充電残量をチェックしましょう。30%近くになっていた場合は充電しておくことをおすすめします。
リチウムイオン電池が完全放電した場合、充電器の接続・再接続を繰り返すことで復旧することがあります。一気に充電を試みると不具合が生じる可能性があるため、注意が必要です。
まず、充電器を接続し、数分間そのままにします。完全放電の状態では、充電アダプターを接続しても充電ランプが点灯しないことがあるため、数分間様子を見てください。
充電が始まらない場合は、一度充電器を外してから再接続します。この操作を数回繰り返すことで、バッテリー内部の回路が再起動し、徐々に電池が反応し始め、通常通り充電できるようになることがあります。
ここでは、空調服のバッテリーの調子がおかしい、故障かな?と思った際におすすめの対処法について紹介します。
バッテリーが熱くなったときは、15~25℃の常温の場所に置き、熱が冷めるのを待ってみてください。冷蔵庫や保冷剤で急速に冷やすのはNGですが、扇風機やサーキュレーターなどの常温の風を当てるのは効果的です。
なお、充電中に少し熱くなる程度であれば問題ありませんが、たびたび異常に熱くなる場合は、バッテリーの劣化が原因と考えられます。そのまま使い続けると、故障や発火のリスクが生じることもあるため、バッテリーの交換を検討することをおすすめします。
充電がすぐに減る、充電時間が異常に長いといった場合は、充電ケーブルや空調服のファンを別のものに交換してみるのもおすすめの方法です。これにより、不調の原因がバッテリーか、あるいはケーブルやファン側にあるかを判断できます。
充電不良の場合、ケーブルの断線などは原因としてかなり上位に入るものです。充電ケーブル・アダプターさえ交換すればバッテリー自体は使える可能性があります。
一方、ファン使用時に異音がする場合は、バッテリーではなくファンの故障が考えられます。ファンの動作が悪くなったことで、風量が少ないのに電気を消費している可能性があるため、ファンの交換を検討しましょう。
上記2つの方法を実施しても解決しない場合は、バッテリーの買い替えを検討しましょう。 メーカーによっては購入から一定期間内は「メーカー保証」を使うことができ、期間内かつ条件を満たしていれば無償で修理や交換を行えます。
取り扱い説明書や保証書などから期間内であることを確認のうえ、相談窓口へ問い合わせましょう。
空調服のバッテリーが故障したら、古いバッテリーは捨てずにリサイクルへ出しましょう。 バッテリーに使われているリチウムイオン電池は「小型二次電池」に分類されており、故障しても資源として再利用が可能です。
リサイクルに出す際は、テープなどで出力端子と入力端子をふさぎ、充電式電池リサイクル協力店に持参するか店舗に設置されている回収ボックスに入れましょう。 回収ボックスは家電量販店やホームセンター、一部の大型スーパーなどに設置されています。
お住まいの地域によっては、自治体が別途回収場所を用意しているところもあります。詳しくは各自治体のルールを確認の上、適切に廃棄するようにしましょう。
空調服のバッテリーについて、寿命や充電方法、保管のコツを詳しくご紹介しました。
空調服のバッテリーの寿命は一般的に2~3年ですが、使用環境や充電回数によって変わります。正しく使い、保管することで寿命を長く保つことも可能です。
ただし、バッテリーが熱を持ったり膨らんだりしている場合は、使用年数に関わらず、安全を最優先に考え買い替えを検討しましょう。メーカーの保証期間内であれば交換や修理も選択できます。