空調服・ファン付き作業着を着用していても、期待するほど涼しくならないケースがあります。そこでこの記事では、もっと涼しくする方法を5つ紹介します。
また、後半では、涼しくする方法を取り入れても涼しくならないケースとその理由も解説します。作業環境の見直しに役立つ情報もあるので、ぜひ参考にしてください。
空調服®をはじめとするファン付き作業着をもっと涼しくする方法を5つご紹介します。
・清涼冷感素材のインナーを着用する
・空調服の下にフリーザーベストを着る
・スペーサーパッドを活用して空気を循環させる
・空調服のファン・バッテリーを交換する
空調服は汗の蒸発を利用した気化熱の効果を送風によって高めることで、涼しさをもたらす仕組みです。通気性が高く吸汗性・蒸散性に長けた清涼冷感素材のインナーを着用すれば、さらに効果が高まります。
清涼冷感素材のインナーのなかでもとくにおすすめなのは、接触冷感機能付きのものです。熱伝導率が高い生地を使用しているため、温度の高い場所から低い場所へと素早く熱を逃がせます。ひんやりとした肌ざわりで、快適に過ごせるでしょう。
フリーザーベスト(アイスベスト)は保冷剤をポケットに収納できるベストです。保冷剤がある場所が冷たくなるのはもちろんですが、通り抜ける風も冷たくなるため衣服内全体の温度を下げられます。インナーの上、ファン付き作業着の下に着用しましょう。
スペーサーパッドは空気の通り道を作るためのアイテムです。背中と胸部にパッドを装着することでウェアと体の間に隙間を作り出し、空気の循環をスムーズにします。
高所作業時にハーネスを装着する人・リュックなどを背負う人にもスペーサーパッドはおすすめです。ハーネスやリュックを装着した状態でもウェアの密着を防げます。
大風量のファンに交換することで涼しさがアップします。毎秒60L以上の風量を実現できるファンであれば、ほとんどの場面で涼しいと感じられるでしょう。ただし、対応バッテリーでなければ正常に動作しない可能性があるため、使っているバッテリーと対応するファンの中から選ぶ必要があります。あるいは、ファンに合わせてバッテリーも買い換えましょう。
また、ファンは埃や粉塵が蓄積するとパフォーマンスが落ちるため、メンテナンスしやすいものを選ぶことも重要です。水洗い可能なものを選ぶとメンテナンスの手間を軽減できます。
通常の服であれば長袖よりも半袖の方が涼しく感じられますが、空調服・ファン付き作業着に関しては長袖の方が涼しい場合があります。ファンによって送り込まれる風が袖部分にも達するため、上半身全体を涼しくキープできるからです。室内作業や無風の日は長袖の方が涼しさを感じられるでしょう。
ただし、袖部分まで風で膨らみがちなので、細かな作業をするときや機械への巻き込みが懸念される現場には不向きです。利用シーンに合わせて選びましょう。
涼しくする方法を実践しても涼しくないと感じる場合があります。その原因を知って対策を考えましょう。
空調服は汗が蒸散するときの気化熱の効果を高めるものです。つまり、汗をかいていないときは気化熱の作用が生まれないため、涼しさを感じにくくなります。汗をかくほどではない作業のときは、接触冷感素材のTシャツなどの方が涼しく過ごせるでしょう。
同じ理由で、吸汗性が低く汗がたまりやすいインナーを着ていると、汗が蒸散しないため涼しさを感じられない可能性があります。
ファンから衣服内に送り込んだ風が循環することなく、一部の方向から抜け出てしまうと涼しさを感じにくくなります。抜け出てしまう主な理由は、サイズが大きすぎるウェアを着用したことによる襟元・袖口からの空気漏れです。
空気の通り道を確保するために大きめサイズを着るという考え方は間違っていませんが、大きすぎると密閉性が低くなるため、ヌードサイズよりワンサイズ上を目安としましょう。なお、ヌードサイズぴったりはおすすめできません。空気の通り道がなくなるため、涼しく感じられないからです。
ファンやバッテリーは使用回数・時間経過とともに劣化していきます。ファンの掃除や適切な充電を心掛ければ長く使えますが、メンテナンスをしても状況が改善しなければ買い換え時です。最大風量に設定しても威力が弱い、バッテリーの持続時間が短くなっているなどの症状が出ていれば、交換を検討しましょう。
株式会社空調服では、次のグラフで空調服の有効範囲を提示しています。
気温35度以上、湿度70%以上になると空調服を着用しても涼しさを感じにくくなります。外気を取り込み気化熱の作用によって涼しくするという仕組みの問題です。
気温が体温より低ければ、湿度に関係なく涼しい風が送られますが、気温が体温を超えると熱風に感じます。湿度が低ければ体温以上の風でも気化熱の作用がはたらく分、涼しさを感じられますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるため効果が失われます。
高温かつ多湿の環境下では空調服だけだと不十分といえるでしょう。室内作業の場合は除湿器の導入、屋外でも送風機などの使用で作業場周辺の湿度を下げることをおすすめします。
空調服・ファン付き作業着を着るだけでは涼しくならないというときは、通気性の良いインナーやフリーザーベスト、スペーサーパッドなどのアイテムをプラスするのがおすすめです。また、ファンやバッテリーが劣化していると機能が低下するため、最新機種に変えるのも手段の1つといえます。
ただし、汗をかきにくい人や作業環境の湿度が高すぎる場合は、気化熱の作用が生じにくくなります。水分をとって汗をかくこと、周辺の湿度を下げる機器などの導入を意識してみましょう。