空調服のデメリット|ファン位置による違い・体に悪いと言われる理由

空調服のデメリット|ファン位置による違い・体に悪いと言われる理由

公開日: 2024年08月29日更新日: 2024年10月22日特集記事

空調服(※)は夏でも快適な作業環境をもたらしてくれるアイテムですが、「体に悪い」「実は涼しくない」などのデメリットを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。空調服を導入するかどうか、迷ってしまうポイントです。

 

そこで本記事では空調服の5つのデメリットや体に悪いと言われる理由を詳しく解説します。ファン位置や袖の長さの違いによるデメリットも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

 

(※)空調服®は株式会社空調服の登録商標。一般的な名称はファン付き作業着。本記事では便宜上、ファン付き作業着の意味で「空調服」と記載しています。

 

空調服のデメリット5選

 

ここでは、空調服のデメリットについて5つ、詳しく解説します。

 

ファンの音・異物感が気になることがある

空調服は、ファンの音が気になることがあります。

 

ファンの回転音は1~2メートルほど離れた場所で聞こえる程度の音量で、工事現場やイベント会場など周囲が騒がしい環境ではほとんど気になりません。しかし、オフィスや会議室などの静かな場所や、顧客やクライアントとの対応が必要な場面では、音に対する配慮が必要となります。

 

また、着用者がファンの振動や異物感が気になってしまうことで、集中力が途切れたり、ストレスを感じたりする恐れもあります。

袖が膨らむと繊細な作業の邪魔になる

 

空調服はウェア内に風を送り込むため、どうしても膨らんでしまいます。その結果、肩周りや腕が動かしにくく感じることがあります。また、袖が膨らむため、手元の繊細な動きが重要な作業がしづらくなる可能性もあります。

 

酷暑・高湿度下では機能が低下する

 

空調服はエアコンとは異なり、基本的に外気と同じ温度の空気を服の中に送り込む仕組みです。そのため、酷暑や高湿度の環境下では効果が低下してしまいます。

株式会社空調服空調服®の有効範囲

 

上記は株式会社空調服の図解の引用です。気温が35度以上、湿度が70%以上になると、空調服を着用しても涼しさを感じにくくなります。作業場に熱や湿気がこもっているときは、除湿器や送風機などを使用して、空調服が機能する環境に整えましょう。

 

その他の涼しくないと感じる理由や涼しくする方法は次の記事をご覧ください。

 

空調服をもっと涼しくする5つの方法


おすすめのインナー・追加アイテムなどもっと涼しくする方法を解説。

 

粉塵が多いところでは使えない

 

粉塵が多い場所では空調服の使用を控えましょう。外気とともに粉塵までウェア内に入り込んでしまうからです。粉塵が肌に付着するとべたつきが生じて汗をかきにくくなるため、汗が蒸発することで涼しく感じる気化熱の効果が失われます。

 

また、首回りから粉塵を伴う風が抜けるため、呼吸器にも悪影響を及ぼす恐れもあります。このような不快感によって、作業効率も低下するでしょう。

 

また、ファンに汚れが溜まり故障の原因となる可能性があります。粉塵による静電気で火花や爆発のリスクも考慮すると、粉塵が多い環境では空調服は不向きです。

 

通常の作業服より重い

 

近年の空調服は軽量化が進んでいますが、それでもファンとバッテリーを搭載しているため、一般的な作業服よりも重たいものとなっています。

 

特に、体を大きく使う作業や移動が多い職種では、その重さが負担となり、動きにくさや疲労を感じやすくなる可能性があります。暑さによる疲労と重量による疲労を天秤にかけて、使用するか否かを検討しましょう。

 

ファン位置によるデメリットの違い

 

空調服のファン位置は主にサイドファン、ハイバックファン、腰位置ファンの3種類があります。ここではファン位置ごとにそれぞれのデメリットを解説します。

 

サイドファンのデメリット

 

脇腹部分にファンが付いているサイドファンタイプのデメリットは、ファンが腕や物で塞がりやすい点です。腕を下ろしたときや両脇に荷物を抱えて運ぶ際にファンが塞がると、外気を取り込めず送風ができなくなってしまいます。

 

また、手元に近い位置にファンがあるため、作業中に発生する粉塵や異物を吸い込みやすいことや工具がファンに接触しやすいというデメリットもあります。さらに詳しくしりたい人は次の記事をご覧ください。

 

サイドファンの空調服・ファン付き作業着のデメリット


サイドファンタイプの空調服・ファン付き作業着の4つのデメリットを詳しく解説。メリットも紹介しているのでメリット・デメリットを比べて選びましょう。



上部ファン(ハイバックファン)のデメリット

 

背中上部にファンがついているタイプです。重心が後ろに偏りやすく、特に長時間の作業では重さやバランスが気になることがあります。

 

また、首や脇には風が効率よく流れて涼しさを感じやすい一方で、背中下部やウエスト周りに汗をかきやすい方は、少し物足りなさを感じるかもしれません。

 

腰位置ファンのデメリット

 

背面の腰部分にファンが付いているタイプです。車両運転などの椅子に座って作業をする際には、背もたれでファン部分が塞がってしまうというデメリットがあります。また、腰袋を取り付ける場合、ファンが邪魔になることもあります。

 

また、腰に直風があたるため、腰回りの冷えに弱い人には不向きです。逆に、お腹や脇には風が届きにくいことがあります。

 

袖の長さの違いによるデメリット

 

ここでは、ウェアの袖の長さ別にデメリットを解説します。

 

長袖のデメリット

 

長袖の空調服は手首の袖口まで空気が循環して膨らむため、腕を動かしにくくなるのがデメリットです。特に細かい作業をする現場には向いていません。

 

また、袖が長い分、ウェアの重たさを感じて疲れやすくなる点にも注意が必要です。

 

半袖のデメリット

 

腕の露出が多いため、日焼けやケガのリスクを軽減できないことが半袖のデメリットです。リスクを避けるためには、アームカバーなどを着用する必要があります。

 

また、ファンで取り込んだ風は上腕で抜けてしまうため、長袖と比べると下腕は暑さを感じやすくなるでしょう。

 

ベストのデメリット

 

ベストタイプは肩や脇部分に風が巡りづらいことと、インナーを着用せざるを得ないことがデメリットです。肌の上から直に着るよりも汗が蒸発しづらくなるため、吸汗速乾インナーなどを選ぶ必要があります。



空調服が体に悪いと言われる理由

 

ここでは、空調服が体に悪いと言われる主な理由を2つ紹介します。

必要以上に体温が低下する

 

空調服を長時間着用して風を浴び続けると、体温が過度に低下することがあります。汗の蒸発時に熱が奪われる気化熱の作用が風によって促進されるためです。

 

必要以上に体温が低下すると、体温を維持するために筋肉が収縮してエネルギーを消耗します。エネルギー消耗による疲労感のほか、冷えからくる頭痛、風邪、食欲不振といった体調不良を引き起こす可能性があるため、長時間の使用には注意しましょう。

 

自律神経のバランスが乱れる

 

汗をかいて体温を下げるのは自然な生理現象であり、悪いことではありません。しかし、風によって汗の蒸発が早まると、無風時よりも急激に体温が下がります。この結果、体は汗をかくのを止めますが、気化熱の効果がなくなるため、今度は気温に応じて体温が再び上昇し始めます。

 

クーラーの効いた室内と外を頻繁に出入りすると、体温調節がうまくいかなくなるのと同じ現象です。身体が暑いのか寒いのか分からない状態となり、自律神経のバランスが乱れてしまうきっかけとなります。



空調服はデメリットを知って上手に使いこなそう

 

空調服は暑い日でも涼しさを感じられて便利ですが、状況によってはデメリットもあります。ファンの音や異物感、重さ、動きにくさなどは作業に直接影響を与えるため、着用に慣れるまでは十分な注意が必要です。

 

また、ファンの取り付け位置や袖の長さは、業種や現場環境に応じて選ばないと、かえって不便に感じることがあります。

 

必要以上に体温が低下する可能性があることも含め、デメリットも知った上で上手に着用することが大切です。

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