日本は季節によって気温が大きく変わるため、1年を通して快適に過ごすためには服装選びが重要です。しかし、季節の変わり目などでは昼夜の寒暖差が激しいこともあり、服装を間違えてしまうことがあります。
本記事では、気象庁が公開している服装指数の詳細と気温ごとの服装の目安を詳しく紹介します。後半では、寒い日と暑い日それぞれで重視したい機能も解説しているので、ぜひ服装選びの参考にしてください。
気温に合わせた服装を考えるときは、気象庁が公開している「服装指数」が参考になります。服装指数は気温に応じた服装を、次の10段階で示したものです。
服装指数は毎日更新され、時間帯別で公開されています。羽織ものを携帯すべきかどうかなど、迷ったときは参考にしてみましょう。
続いては、0℃未満から30℃超えまでの気温を9段階に分け、気温に合わせた服装の目安を紹介します。
0℃未満は保温性の高いダウンジャケットを着ても寒いため、首や手足などの露出する部分に、次のような防寒グッズを追加しましょう。
手袋・ハンドウォーマー
マフラー・ネックウォーマー
厚手の靴下
首や手足が冷えると、冷やされた血液が体の中心部に戻るため、全身の冷えにつながります。とくに、太い血管のある首・手首・足首は冷やさないように心掛けましょう。
0℃では保温性の高いジャケット・コートの着用が必須です。次のようなアウターが適しています。
ダウンジャケット
中綿入りジャケット
裏面フリース素材
アルミ素材
ダウン(羽毛)や中綿、フリースは繊維間に空気を含みやすく、外気と肌の間に空気の層を作れるため断熱効果があります。アルミ素材は反射熱を活用するための素材です。体温を利用して衣服内部の温度が下がるのを防ぎます。
5℃は冬物のコートが必要な寒さです。インナーにはニットやスウェットなど、保温性・防寒性のあるものが向いています。ボトムや靴下もあたたかいものを選びましょう。
10℃あれば春・秋用の薄手のコートやジャケットでも寒さを感じない人が増えてきます。ただし、最高気温が10℃の場合は早朝や夕方以降が寒くなるため、マフラーなどの小物で体温調節しましょう。
15℃では、長袖のシャツやスウェットに、カーディガンや薄手の羽織を重ねるコーディネートが適しています。動きやすさを重視する場合は、ダウンベストも選択肢です。
20℃は4~5月、あるいは10~11月の気温で、暑さ・寒さともに感じにくい気温です。長袖シャツやパーカー1枚で十分快適に過ごせるでしょう。ボトムも厚手のものから薄手のものに切り替える時期です。
25℃は5月後半から6月、あるいは9月頃の気温です。十分あたたかいため、半袖シャツ1枚でも問題ありません。人によっては涼感インナーが欲しくなる気温でもあります。
5.6オンス ヘビーウェイトTシャツ Printstar 00085-CVT
30℃ならTシャツ1枚が快適です。ノースリーブ(タンクトップ)やハーフパンツの人も増えてきます。ケガや日焼け防止のために長袖を着用する場合は、通気性や接触冷感などの涼感素材を選びましょう。
エアークラフト AC半袖ブルゾン(ウェア単体商品) バートル AC2016
30℃を超えるとノースリーブを着ても暑いため、体表面の熱を奪う機能をもつウェアを着用しましょう。送風によって体温上昇を防ぐ空調服・ファン付き作業着や接触冷感機能付きの清涼インナー・清涼グッズが適しています。
ただし、空調服・ファン付き作業着は湿度が高いと十分な涼しさを得られないことがあります。株式会社空調服のデータによれば、35℃以上湿度70%以上では冷却効果が得られないようです。高温多湿の場合はフリーザーベスト等の着用も検討しましょう。
寒い日は次の2つのポイントを重視して服を選びましょう。
保温性
防風性
寒い日は生地の保温性を重視しましょう。具体例は次のとおりです。
ダウンジャケット
中綿入りジャケット
裏面フリース素材
コーデュロイ
フランネル
これらの生地は外気と肌の間に空気の層を作りやすく、断熱性・保温性が高いため、寒い日でも体温を活用してあたたかく過ごせます。
寒い日は保温性だけでなく防風性も重視しましょう。風は体表面の温度を奪うため、比較的気温が高い日でも強風に長時間晒されていると、低体温になることがあります。
防風性の高いウェアの代表例はウインドブレーカーです。風を通しにくい高密度織りの生地が採用されています。とくに寒さが厳しいときは、高密度織りの生地であることに加えて、襟元・袖口・裾がリブやゴム仕様で隙間を塞げるものが最適です。
逆に防風性が低いウェアの代表例はセーターです。セーターの繊維は空気を含みやすいため保温性はありますが、織りが粗く風を通しやすいため、冬場に1枚で着用するには向いていません。
暑い日は次のような機能を持つ服を選ぶと快適に過ごしやすくなります。
高通気
吸汗速乾
接触冷感
UVカット
人の体温調節機能のひとつが汗です。水分が蒸発するときに熱を奪う気化熱の作用によって、体温の上昇を防いでいます。高通気生地のウェアは汗の蒸発を妨げづらいため、熱やムレによる不快感を軽減できます。
また、風のある日は体温よりも温度が低い外の空気が肌まで到達するため、清涼感を得やすくなります。
吸汗速乾も高通気と同様に気化熱の作用をサポートする機能です。
たとえば綿100%のTシャツは水分を抱え込む性質があるため、大量の汗をかくと蒸発まで時間がかかります。一方、吸水性の高い綿と速乾性の高いポリエステルを混紡したTシャツであれば、汗を吸いつつ素早く蒸発させるため効率よく気化熱の作用を利用できます。
次の生地では、吸汗速乾機能の仕組みやメーカー各社が開発した吸汗速乾素材を詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
接触冷感は物に触れたときに、ひんやりと感じる感覚のことです。熱伝導率の高い素材を活用し、熱を素早く逃がすことで冷たく感じさせる接触冷感素材の衣服は、暑い日の不快感を軽減します。
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紫外線(UV)のピークは7~8月で、暑い日と重なるためUVカット機能も重視しましょう。紫外線による肌ダメ―ジを防ぐことはもちろん、炎症によって引き起こされる吐き気・頭痛・発熱のリスクも低減できます。
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気温に合わせた服装であれば、季節を問わず快適に過ごしやすくなります。ただし、暑さや寒さが厳しいときは、服だけではなく小物やデバイスも活用しましょう。
また、衣服の機能に注目するのも快適性を向上させるポイントのひとつです。寒い日は保温や防風、暑い日は通気性や吸汗速乾機能、接触冷感、UVカット機能などを重視しましょう。