飲食店で着用する帽子は、店の雰囲気を左右するだけでなく、衛生面でも欠かせないアイテムです。しかし、コック帽やキャスケット、和帽子などデザインの種類が豊富で、どれを選べばよいか迷うことも多いでしょう。
本記事では、店舗の雰囲気に合ったおしゃれな帽子の選び方、髪の毛対策を考慮した正しい被り方について詳しく解説します。衛生面を重視しながら、店舗のイメージをより引き立てる帽子を選ぶ参考にしてみてください。
まずは、飲食店で使用される帽子にはどのような種類があるのか、代表的な8点について紹介します。店舗の雰囲気や利便性に合わせて選びましょう。
コック帽は主に料理人やシェフが着用する、高さのある白い帽子です。衛生面での役割を果たすだけでなく、シェフの役職や経験を、高さやデザインで表現できます。プロフェッショナルな印象を利用者に視覚的に伝えられるアイテムです。
コック帽のメリットとして、帽子内の空間が広く熱がこもりにくい点が挙げられます。通気性に優れた素材のものが多いため、暑い厨房でも蒸れにくく、快適に過ごせるでしょう。
ただし、高さがあるため、狭い厨房などでは動きづらくなることもあります。作業環境に合わせて適切なデザインを選びましょう。
和帽子は主に、和食店や日本料理を提供する飲食店で使用される帽子です。丸みを帯びた低めのデザインが特徴的で、厨房の調理スタッフだけでなく接客スタッフも着用することが多いアイテムです。
ユニフォームとして統一することで、和の雰囲気を高める効果も期待できます。帽子の高さが低めなので動きやすく、狭い厨房でも作業の妨げになりにくいという利点があります。
ハンチングは丸みのある平たい形状が特徴の帽子です。前に小さめのつばが付いており、頭にフィットしやすいデザインなので、調理スタッフや接客スタッフを問わず、飲食店のユニフォームによく使用されています。
一般的にレストランやバル、カフェやベーカリーなどで使用されることが多く、カジュアルでスタイリッシュな印象を与えます。
一方で、かっちりとしたコックコートやシャツなど、フォーマルな印象のウェアとも好相性です。幅広いスタイルの飲食店に対応できるアイテムといえます。
ベレー帽はハンチングよりも大きく、頭全体を包み込むような丸いフォルムが特徴です。カジュアルで親しみやすい印象があります。髪の毛をしっかり収められるので、清潔感もアピールできるアイテムです。
おしゃれなカフェやベーカリー、オープンキッチンやカウンタータイプのレストランなどでよく使用されます。軽量で着用していても疲れにくいのも魅力です。
キャスケットは、丸いクラウンに天ボタンと小さめのつばがついた帽子です。キャップよりも大きめなので髪の毛をしっかりと収められます。レトロでボーイッシュなテイストな印象があり、カジュアル・リラックスな雰囲気の飲食店におすすめです。
つばが付いているため、日差しを和らげる効果も期待できます。店内はもちろん、屋外のフードイベントやキッチンカーでの接客時にもおすすめです。暑い厨房内や夏の屋外などでは、通気性の良い素材を選ぶといいでしょう。
キャップは一般的な野球帽と同じ形状のものです。カジュアルな雰囲気の飲食店でよく使われています。また、日差しを遮るつば付きで通気性も優れているため、屋外の屋台やフードイベント、キッチンカーにもおすすめです。
軽量で、ずれたり脱げたりしにくいため、動きやすさにも優れています。また、店舗やイベントのロゴプリントをプリントしやすいため、ノベルティグッズやプロモーションツールとしても活用しやすいのがメリットです。
三角巾やバンダナは折って髪を覆い、後ろで結ぶスタイルが一般的です。どちらも手軽でコンパクトなので扱いやすく、洗濯などお手入れもしやすいため、アルバイトの方でも自己管理しやすいでしょう。
また安価なので、従業員分を揃えても負担になりにくい点がメリットです。店舗名やロゴなどをプリントすれば、ユニフォームとしての一体感も出せます。
ただし、仕事中に結び目がゆるんできたり、おでこの部分が下がってきたりすると、清潔感を損ねる点には注意が必要です。ほどけにくいように結びましょう。
食品衛生用帽子は衛生管理を徹底するための専用帽子です。頭全体をしっかり覆うネットやケープ付きのものが多く、髪の毛の落下を防止する構造です。
衛生帽子であるため、抗菌機能や塩素消毒にも耐えうる褪色防止仕様のものが多いことも特徴です。HACCPなど衛生基準を重視する、食品加工工場や給食センターなどで使用されています。
ここでは、飲食店での使用に役立つおすすめの機能を3つ紹介します。
衛生管理が重要な飲食店では、抗菌・制菌機能を備えた帽子を着用するのがおすすめです。
SEK(橙)認証は、繊維に付着した有害な細菌の繁殖を抑える効果があると確認された製品に与えられる信頼のマークです。厳しい試験基準をクリアし、安全性が確認された食品業務用縫製品に付与されます。
対象アイテムをユニフォームとして取り入れることで、店舗の衛生管理レベルをより向上させられるでしょう。
飲食店における帽子は、髪の毛の落下を防ぐ目的があるため、どうしても長時間着用し続けることになります。暑い厨房で調理をするスタッフや、店内を忙しく動き回るホールスタッフにとって、帽子の通気性や吸汗速乾性は欠かせない機能です。
通気性の良いメッシュ素材の帽子は、熱や湿気を外に逃がし、蒸れを軽減します。また、吸汗速乾機能付きの帽子なら、汗を素早く吸収・蒸発させることで快適さを保つだけでなく、菌の繁殖を抑える効果も期待できます。
飲食店では、野菜や魚の洗浄、食器洗い、清掃など、水を扱う業務が多くあります。帽子に撥水機能が備わっていると、水がはねたり、濡れた手で触れてしまった場合でも、水滴を弾いてさっと拭き取ることができるため、とても便利です。
HACCP(ハサップ)とは、食品の安全を守るための管理方法です。食品の製造や調理の過程で、細菌や異物混入などの危険が発生しそうなポイントを特定し、そこを重点的に管理することで、安全で安心な食品を提供する仕組みです。
令和3年6月1日から、原則として、すべての食品関連事業者はHACCPに沿った衛生管理を実施することが義務付けられています。
食品工場では汚染区、準清潔区、清潔区といったエリアごとに服装を分けることが大切です。
とくに、複数エリアを同一担当者が行き来する場合には、エリアごとの色分けが重要といえます。汚染度の高い場所から低い場所へ移動する際に、服を通じて汚染を持ち込んでしまう可能性があるからです。
担当エリアごとに帽子の色を区分すれば、汚染された服のまま入場するリスクを低減できます。エリアの区分けが視覚的に明らかであるため、エリアごとに着替える習慣がつきやすくなると考えられます。
髪の毛は結び、帽子の中にしっかり入れることが基本です。食品や料理に髪の毛が混入しないように注意しましょう。
とくに、食品工場では髪の毛の落下を防ぐため、髪を確実に帽子の中に収め、隙間ができないようにすることが重要です。耳を覆い、肌の露出を極力減らし、目だけが見えている状態が理想とされています。
なお、小規模な飲食店では、帽子の中にすべての髪を入れなくても問題ない場合もありますが、髪を結ぶことは求められます。
キャップなどのつば付き帽子は、つばが少し上向きになるようにかぶると、顔が見えやすくなり、明るい印象になります。前髪はできるだけ帽子の中に入れるようにしましょう。
屈んだ際に横髪が前に落ちてくると、暗い印象を与えるだけでなく、衛生的にもよくありません。ヘアピンを使用してしっかり帽子の中に収めることで、清潔感が増し、より好印象を与えられます。
食品工場では、正しい身だしなみを守らないと食品事故やお客様からのクレームが発生する可能性があります。
食品衛生用帽子には、フードタイプやキャスケットタイプなどさまざまなデザインがありますが、いずれの場合でも、まずヘアネット(インナーキャップ)をしっかりと着用し、髪の毛の落下を防ぐことが重要です。
着用する際には、ヘアネット・食品衛生用帽子ともに毛髪が付着していないか確認しましょう。鏡を見ながら、こめかみや襟足、うなじ部分から髪の毛がはみ出ないようしっかりとチェックすることが大切です。
飲食店で使用される帽子についてご紹介しました。コック帽や和帽子といったプロフェッショナルなデザインから、キャップやキャスケットのようなおしゃれなデザイン、さらに食品工場で使用される食品衛生用帽子まで、さまざまな種類があります。
しかし、どの帽子においても、まずは髪の毛の落下を防ぐという衛生面が最も重要です。帽子を衛生的に着用することは、お店の印象やお客様からの信頼度を高めることにもつながります。
まずは髪の毛をしっかりと収められる帽子を選び、そのうえでお店の雰囲気に合ったおしゃれなデザインを取り入れるようにしましょう。