2022年より、建築現場をはじめとする高所作業の際にはフルハーネス着用が義務化されました。空調服(※)においても同様で、高所で作業する場合はフルハーネスを装着しなければいけません。
この記事では、夏場の高所作業に有用なフルハーネス対応の空調服のタイプ別の特徴と選ぶときのポイントについて解説します。後半では、おすすめ商品も厳選して紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
(※)空調服®は株式会社空調服の登録商標。一般的な名称はファン付き作業着。本記事では便宜上、ファン付き作業着の意味で「空調服」と記載しています。
フルハーネス対応の空調服は、フルハーネスの上に空調服を着用するタイプと、フルハーネスの下に空調服を着用するタイプの2種類に分かれます。それぞれの特徴を紹介します。
フルハーネスの上に着用するタイプの空調服は、背中部分にランヤード用の通し穴が付いています。肩や胸にフルハーネス用休止フック・フック用のDカン・ループが付いているものも多くあります。
ハーネスによってウェア内の風の循環が妨げられることがないため、このタイプが主流となっています。
ただ、ハーネスを着脱する際に空調服も一緒に脱着しなければならず、休憩などの際に手間がかかることがデメリットです。また、フルハーネスの装着状態を目視で確認しづらいため、現場によっては推奨されない場合もあるでしょう。
フルハーネスの上に着用するタイプの空調服は、ハーネスを付けてもウェア内の空気がしっかりと循環するよう、ウェアの内側に取り外し可能なスペーサーを一体化させたものが販売されています。
空調服を着用したままハーネスの着脱が簡単にできる点、また、フルハーネスの着用状態が目視でもわかりやすく、安全性を確認しやすい点がメリットです。
スペーサーがないタイプでも、後付けできる場合があります。詳しくは次の記事をご覧ください。
フルハーネス対応の空調服には背中部分にランヤード装着ホールが施されていますが、他にもさまざまな高所作業に便利な機能が搭載されています。ここでは「ファン落下防止仕様」と「フック用Dカン・ループ」について解説します。
高所で空調服を着用する際、ファンやバッテリーなど部品が落下すると危険です。高所作業が多い方は万が一のことを考えて、ファン落下防止仕様が搭載されている空調服を選ぶようにしましょう。
フルハーネス対応の空調服には、肩や胸元にフック掛けが付いていると便利です。フック掛けは、Dカンやカラビナを付けられるループが主流となっています。2丁掛けのランヤードを使用する方はDカン付きの方がおすすめです。
ここでは、フルハーネスに対応しているおすすめの長袖空調服を3点紹介します。
フック掛け用のDカンを2個搭載した、フルハーネス対応の空調服です。Dカンはポケットに収納できるため、使わない時は作業の邪魔になりません。ファン脱落防止メッシュを採用、高所作業中の部品落下を防げて安心です。
高強度コーデュラ®ナイロン素材を使用しており、耐久性が高く、ハードな作業環境にも向いています。
フックハンガーを装備したフルハーネス対応空調服です。アルミコーティングにより、-9度の遮熱効果とUVカット効果を実現、日差しをしっかり遮断します。軽量なソフトシェル素材で快適に動きやすく、さらに防汚・撥水加工で汚れや水滴にも強い仕様になっています。
両脇サイドファンモデルなので、運転等で椅子に座る仕事でも使いやすい設計です。着脱可能なヘルメット対応の大型フードも付いています。
Dカンと収納ポケットを装備したフルハーネス対応空調服です。収納ポケット部分には反射材が施されており、視認性が高いものとなっています。ファン脱落防止用のメッシュが付いているため、高所から部品を落下させる心配なく作業ができます。
帯電防止機能はJIS T8118に適合しているため、静電気の発生で危険を伴う工場や倉庫、電力設備や化学工業施設などで着用するのにもおすすめです。
続いては、フルハーネスに対応しているおすすめの半袖空調服を3点紹介します。
フックハンガー取付ベルトを装備したフルハーネス対応空調服です。アルミコーティングによる-9度の遮熱効果とUVカット機能で、炎天下での作業を快適にサポートします。軽量ながら耐久性のある素材を使用しているため、長時間の作業でも動きやすさをキープします。
防汚機能と撥水機能を備えており、泥汚れや軽い雨にも強い素材です。ヘルメット対応の大型フードは着脱可能です。
肩部分にフック掛け用Dカンを2個装備した、フルハーネス対応の空調服です。ファン脱落防止用メッシュも付いており、高所でも安全に作業できます。
制電機能も備わっており、静電気が気になる作業環境でも安心して着用できます。生地は丈夫でありながらソフトな着心地のT/C素材です。また、計測や記録作業にも便利な野帳対応仕様です。
フックハンガー取付ベルトを装備した、フルハーネス対応の空調服です。アルミコーティングによりUVカットと-5度の遮熱効果を発揮、日差しの強い作業環境でも快適に過ごせます。
防汚・撥水加工が施されており、汚れや水滴を弾いて拭き取りやすくなっています。5色展開でカモフラ柄も揃っており、デザイン性にこだわる方にもおすすめです。
ここでは、空調服の上にハーネスを着用する際におすすめのスペーサー一体型空調服について紹介します。
空調服を着用した上からフルハーネスを装着しても、ウェア内の風の循環や通気性が滞らないようにスーパースペーサーが装備されています。スーパースペーサーは取り外し可能です。
ファンの落下を防ぐため、メッシュガードが装備されています。目視でフルハーネスを装着しているかどうかがわかりやすく、現場の安全管理に最適です。制電機能にも対応しています。
ここでは、フルハーネスに対応している空調服についての注意点を紹介します。
Dカン・ループ・背中のランヤードを通す穴などのパーツは、フルハーネスを装着する際には必要ですが、フルハーネスを装着しない時にはどうしても邪魔になりがちです。フルハーネスを使わないスタッフにとっては扱いにくいと感じられる恐れがあります。
会社全体でユニフォームをフルハーネス対応の空調服に統一すると、作業効率が低下する可能性がある点には注意しましょう。
フルハーネスに対応している空調服は、縫製などが複雑で使用するパーツも多くなるため、フルハーネス非対応の空調服よりも価格が高い傾向にあります。
高所作業者以外ではフルハーネス対応のメリットはとくにありません。価格が高ければ高スペックというわけではないため、作業内容に合わせて選びましょう。
高所作業ではフルハーネスの装着が義務化されています。フルハーネスを装着しつつ空調服を着用する場合は、背中にランヤードの通し穴が付いたフルハーネス対応の空調服を選びましょう。
肩や胸にフック掛けのパーツが付いているものや、ファンの落下防止対策が施されているものなど、安全面を重視した空調服もおすすめです。迷ったときは、本記事のおすすめ商品をぜひ参考にしてください。
ただし、高所作業以外ではメリットがないため、全作業員向きではありません。フルハーネス対応ではない空調服も合わせて検討したい人は、次の記事をご覧ください。