ワークシャツは作業着やアメカジコーデの定番アイテムとして親しまれているトップスです。しかし、ワークシャツが具体的にどのようなシャツを指すのか、実はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ワークシャツの歴史から特徴まで詳しく解説します。後半ではワイシャツや作業ジャケットとの違いも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ワークシャツならではの特徴を知るために、まずは歴史から見ていきましょう。
ワークシャツの誕生は1850年代のアメリカ、ゴールドラッシュの頃といわれています。鉱夫のための作業着として、高耐久のシャツが求められていました。現在のワークシャツにも採用されている高耐久生地、強度の高い縫製は、この歴史に基づきます。
その後、農業・木工業・塗装業・鉄道などを中心に、幅広い労働者から支持されるワークウェアとして広まっていきました。
20世紀には軍用ウェアとしても採用され、需要の高さから生産するメーカーが増えていきました。軍服としての機能性が付加され、現在のワークシャツに近づいていきます。
1950年以降は労働者や軍以外の人にも広まり、カジュアルウェアとして定着していきます。その後、柄やサイズ感などのバリエーションが増え、ファッション性が追加されました。
現在は日本でも、作業着として取り入れられているほか、アメカジコーデの定番アイテムとして愛されています。
ワークシャツの歴史から、高耐久の生地・強度の高い縫製・機能性がワークシャツの特徴であることがわかりました。ここでは、その他のポイントも含めてワークシャツならではの特徴を具体的に紹介します。
ワークシャツには次のような生地が使われています。
ツイルは綾織りのことで、デニムやダンガリーも綾織りであるためツイルの一種です。ツイルの耐久性は素材や厚みによって異なります。ツイルの中でも厚手のものや、デニム・ダンガリーは高耐久です。
シャンブレーは見た目こそデニムやダンガリーに似ていますが、平織りの丈夫な生地です。薄手で軽量、通気性が良いため夏に向いています。
ヘリンボーンはストライプと適度な厚みが特徴的な綾織りの生地です。耐久性に優れ、しわや型崩れを防げるため、きれいな印象を保ちやすくなります。
ドビークロスはドビー織機で作られた生地です。凹凸があり肌離れが良く、吸水性と通気性に優れています。軽くやわらかいことも含め、季節を問わず快適に着用できるでしょう。
ステッチは縫い目のことで、数が多いほど強度が高くなる傾向にあります。作業用のワークシャツは強度が求められるため、ダブルステッチまたはトリプルステッチが主流です。
また、ダブルやトリプルには、型崩れしづらいというメリットもあります。動作や洗濯時に縫い目にかかる負荷が分散され、安定するからです。
作業用のワークシャツには、作業を快適におこなうための工夫が施されています。代表例は次のとおりです。
両胸ポケット
付加機能
ワークシャツは両胸にポケットが付いたものが主流です。とくに作業用のワークシャツには、雨天対応・落下防止のためにフラップやファスナーが付いたポケットが採用されています。胸ポケットがあれば、ペンやメモ帳、名刺などをしまっておけるので便利です。
抗菌は臭いの元にもなる黄色ブドウ球菌の繁殖を抑える機能です。衛生を保ちやすく、エチケットの面でも役立ちます。消臭は臭い成分を吸着または分解、中和する機能です。汗臭や加齢臭などの不快感を抑えられます。
撥水は水を玉状に弾く機能です。高圧洗浄機やウォーターカッターを使う作業、あるいは清掃時に活躍します。防汚は水性・油性問わずさまざまな汚れをつきにくくする加工です。粘度の高い汚れは一時的に付着することがありますが、拭くだけで落とせます。
制電は帯電を防ぐ機能で、静電気による埃や粉塵、髪の毛の付着を防ぎたいときに有用です。なお、JIS規格対応の制電の場合は、精密機器や火気厳禁の物を取り扱えるレベルの帯電防止を指します。制電繊維の割合や金具の露出範囲まで考慮されたものです。
高視認は反射素材(リフレクション素材)などを取り入れたものです。光を反射することで、暗所や夜間でも存在感を示せます。交通誘導時や入り組んだ場所での事故防止に有用です。
ワイシャツはフォーマルシーンにも使えるものが多く、ステッチはシングルが基本です。耐久性や機能性、動きやすさはワークシャツほど重視されていません。建設業や工場などのハードワークではワークシャツを選びましょう。
作業ジャケットはワークシャツよりも高耐久、高機能です。生地が厚いためケガ防止にも効果があります。
一方、アウターとしての着用が前提とされているため、肌ざわりはワークシャツほど考慮されていません。また、ワークシャツより重く、洗濯後に乾きにくいというデメリットもあります。
ケガの危険性が低い作業なら、軽く取り扱いやすいワークシャツを検討してみましょう。
最後に、ワークシャツの選択肢が豊富なブランドを紹介します。
ワークシャツはジャケットよりも軽量で、ワイシャツよりも高耐久・高機能なウェアです。両胸のポケットなどの収納力や季節を問わず着やすい生地感など、さまざまな魅力があります。
作業着としては取り扱いやすく、プライベートではアメカジコーデの主役になるウェアなので、ぜひ日常に取り入れてみてください。