コンビニや配送業のように、制服を見るだけでも企業名がわかるケースは少なくありません。それだけ印象に残りやすいため、ユニフォーム・制服は企業イメージを大きく左右する要素です。顧客だけでなく従業員のモチベーションにも関係しています。
本記事では、ユニフォームがもたらす影響と導入のメリット・デメリットを詳しく解説します。後半では導入の際の6つのポイントも解説するので、ユニフォーム・制服を導入すべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
ユニフォーム・制服は企業のイメージに関わります。外部の人に向けた広告塔としての影響を2つに分けて解説します。
ユニフォームや制服の色・デザインは顧客や消費者にあたえる企業イメージに影響します。飲食店が好例です。次の例を見てみましょう。
店のコンセプトと合致するデザインを選べば、ユニフォームを見るだけでも、どんな店なのかイメージできます。逆に、高級店にも関わらず従業員のユニフォームがカジュアルすぎると、顧客が求める特別感を演出できない可能性があります。
ユニフォームが顧客・消費者の印象を左右するのは、飲食店に限りません。企業のコンセプトやカルチャー、見せたい印象に合致するユニフォームを選ぶことが重要です。
ユニフォームのデザインや機能が採用活動に影響する可能性もあります。とくに、近隣に優良な競合他社が多い場合は、ユニフォームが就職希望者の決め手の1つになるでしょう。
実際、バイト求人情報サイトなどでは「かわいい制服のアルバイト特集」が組まれています。制服で職場を決める人が少なくないということです。
ユニフォームが企業の広告塔として機能する可能性がわかりましたが、実務の面でも大きなメリットがあります。4つのポイントに分けて解説します。
従業員の希望に適うユニフォームを取り入れることは、従業員のモチベーションアップにつながります。1日の大半を過ごす衣服だからこそ、デザイン・機能ともに支持されることが重要です。
また、ドレス効果による従業員の変化も期待できます。ドレス効果とは、着る服によって人の性格や行動、立ち居振る舞いが変化する心理効果のことです。具体例を見てみましょう。
同じ服を着ることで所属意識を持ちやすくなる
プライベートと仕事を切り分けやすくなる
愛用品を身に着けると気分が高揚する
制服を着ると責任感や誇りを感じる
ただし、ドレス効果には悪い例もあります。「ハンドルを握ると性格が変わる」が代表的です。これと同じで、ユニフォームのデザインやしわ、汚れなどによっては悪い方向に影響する可能性があります。商品選びだけでなく、維持管理も重視しましょう。
仕事内容に適した機能をもつユニフォームを選べば、作業効率・生産性の向上を期待できます。具体例は次のとおりです。
適した機能をもつユニフォームを選べば、ケガや病気、事故のリスクを軽減できます。従業員が安心して仕事に取り組みやすくなることも含め、作業効率と生産性の向上に有用です。
役職や役割によってユニフォームのデザインや色を変えると、業務効率が上がる可能性があります。
たとえば医療現場においては、所属する科や役割別にスクラブの色を変えることが少なくありません。緊急性が高い場面において、的確な指示が出しやすくなるからです。
また、食品工場においては、汚染エリアと衛生エリアを区別するために、エリアごとに異なる色の調理衣に着替える施策が実施されています。
ユニフォーム・制服を企業から提供すれば、次のような従業員の負担を軽減できます。
勤務用の衣服にかかる支出
コーディネートの手間
維持管理の手間と支出
作業着やスーツ、調理衣などにかかる衣料代金やコーディネートの負担が減るため、従業員が自分のためにお金や時間を使いやすくなります。
さらに補修やクリーニングまで企業側が負担すれば、給与は同じでも、従業員にとっては実質の手取りが増えたと感じられるでしょう。
また、好きな服装で出社できるため、ファッションが好きな人ほど制服がある方が良いという声もあります。
ユニフォーム・制服の導入はメリットばかりではありません。衣服のデザインや機能、導入の手順や制度によっては不満につながることがあるほか、企業側の負担が増すなどのデメリットもあります。ここでは、4つのデメリットを解説します。
現場の希望と合致しないデザイン・機能のユニフォームを導入すると、不満が噴出する恐れがあります。具体例は次のとおりです。
スカートの丈が短くて恥ずかしい
通気性が悪くて不快
色も形もかっこよくない
保温性がなく冬は寒い
体型と合わず不格好に見える
すべての不満を解消することは現実的には難しくても、現場の声を可能な限りヒアリングし、最大公約数となるユニフォーム・制服を導入することが大切です。
役割や役職によってユニフォーム導入の有無やデザイン性に大きな違いがあると、比較できてしまうため不満につながることがあります。
たとえば製造部と営業部があるとして、製造部だけに制服を支給、営業部は自前のスーツとしたケースで考えてみましょう。製造部からすれば服装自由の営業部をうらやましく思い、営業部は衣服のコスト負担がない製造部が得をしていると感じる可能性があります。
ユニフォーム・制服を導入する場合は、会社全体としての納得感を浸透させることが重要です。
事務服の耐用年数は3年程度、建築・製造等の作業着は1~3年が目安です。医療・食品関係は衛生的であることが重要であるため、1年未満で交換になることも少なくありません。
また、作業着については安全を確保するために、ほつれや破れなどを適宜補修する必要があります。従業員の故意または過失による破損でない限り、補修は基本的には会社負担です。
交換・補修・クリーニング等の維持管理コストがかかるため、ユニフォーム・制服を導入する際には長期的な資金計画が必要になります。
私服から制服に着替える時間は、原則として労働時間に含まれます。以下は厚生労働省のガイドラインからの抜粋です。
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
周知徹底していない場合、「制服に着替えてからタイムカードを打刻する」というローカルルールが発生してトラブルにつながることがあります。
着替えの時間が打刻されていなかった場合、未払いの残業代が発生していることになります。未払いの残業代については法定の利率に基づいた遅延損害金が発生するため、打刻ルールの周知徹底は重要です。
ユニフォームは購入・配布すれば導入完了というわけではありません。ここでは、後悔しないための6つのポイントを解説します。
ユニフォーム・制服を導入する目的を明確化すると、次のような利点が生まれます。
従業員アンケートの項目を設定しやすくなる
求める性能の優先度が見えやすくなる
企業にとって本当に必要か判断しやすくなる
ユニフォーム・制服には企業の広告塔という側面があるため、顧客の声も参考になるでしょう。
現在の企業イメージを確認することで、目指すイメージとの乖離に気づくきっかけになります。あるいは、顧客が期待する企業の姿がわかれば、その期待に近いイメージのデザインを選びやすくなります。
従業員のモチベーション維持・アップを考えるなら、現場の声を聞くことも重要です。次のようなポイントを項目化し、アンケートやヒアリングをおこないましょう。
現在の服装への不満
現場が抱えている課題
希望する機能やデザイン性
従業員が思う企業イメージ
たとえば、制服の色や髪型が揃っており、遠目からでは従業員の担当業務を見分けづらいという声があったとします。このケースでは、役割によって色を分けることが解決につながる可能性があります。
また、現在の制服に満足している声と、似合わないのでモチベーションまで下がるという声が両方あったとしましょう。この場合は、色やテイストは統一しつつ、シルエットや細部のデザインが異なる制服を複数種類用意することで、改善される可能性があります。
導入の目的と従業員・顧客の声を照らし合わせ、新たなユニフォーム・制服に求める条件をリストアップしましょう。優先度順にしておけば、次の工程で確認する予算とのバランスがとりやすくなります。
希望条件が複数ある場合、すべてを叶えるユニフォームを導入することは予算的に難しい場合があります。希望条件の優先度と予算のバランスを見て選びましょう。
ユニフォーム・制服の導入自体が初めての場合は、配布する前に次のような取り扱いルールを取り決めておきましょう。
安全のための点検項目(ほつれ、破れ、汚損等の基準)
交換申請のルール
着替えの時間の取り扱い(打刻ルール)
着用ルール(サイズの選び方、着方)
事前に周知しておくことで、導入後の運用がスムーズになります。
最後に、導入するユニフォーム・制服に迷ったときのヒントとして、色があたえる心理効果や利便性の違いを解説します。
赤は情熱や力強さを示す活動的な色です。従業員のやる気や顧客の購買意欲を刺激する効果を期待できます。物販や展示会など商品をPRする場面で活躍するでしょう。
ただし、興奮させる色でもあるため、緻密な作業が求められる場面やクレーム対応の場面でには向かない可能性があります。
青にはほどよいリラックス効果があり、冷静さを保ち、集中力をアップさせる効果がある色です。また、誠実・爽やかな印象もあるため、幅広い業種で選ばれています。
なお、黄色と組み合わせることで、さらなる集中力アップが期待できるといわれています。
青々とした木々を思わせる緑は、リラックス・癒しの効果がある色です。暖色と寒色の中間にあるため、季節を選ばず着やすいというメリットもあります。環境への配慮を重視する企業やリラックス感が魅力の飲食店などで選ばれています。
黄色は元気なイメージを与える色であると同時に、注意を引く色でもあります。とくに明るい黄色は暗い場所でも目立つため、夜間の交通誘導や倉庫作業における安全性の確保に有用です。
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茶色は落ち着いたイメージや安心感を与える色で、従業員の帰属意識を高める効果があるといわれています。また、ぬくもりを感じやすいため、秋冬向けのユニフォームに多い色です。
さらに、埃や土汚れが目立ちにくいというメリットもあります。土木作業や農業の際に清潔感をキープしやすくなるでしょう。
黒は高級感や重厚感を思わせる色で、高級感を演出したい飲食店のユニフォームで採用される傾向にあります。水や油の染みが目立ちにくいこともメリットです。
ただし、埃や粉塵などの汚れは目立ちやすいほか、光を熱として溜め込みやすいため、屋外の建設・解体作業などには向いていません。
白は清潔感を示しやすい色です。汚れが目立ちやすい色だからこそ、真っ白な状態は衛生的であることを示しています。食品工場や医療現場など、衛生を保つことが重要な仕事では白が基本です。
ただし、医療現場においては白衣のイメージが強く、患者に対して威圧感や緊張感を与える可能性があるともいわれています。とくに小児科などの子どもが多い場所では、淡いピンクや水色などが選ばれるようです。
また、補色残像(※)の影響を受けやすい色でもあるため、同じ色を長時間見続ける作業に白色のユニフォームは適していません。
(※)補色残像:赤色を長時間見ていると、目を離したときに緑色の残像が見えるといった現象。残像の色は色相環上の対照色。
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