オーバーオールはもともと作業着でしたが、ファッションアイテムとしても親しまれています。日本では1970年代~1980年代に流行し、今では定番ウェアとなりました。
しかし、サロペットやオールインワンなど混同しやすい名称も多いため、オーバーオールとは何かを具体的には知らないという人が多いのではないでしょうか。
本記事では、オーバーオールの定義と特徴、混同しやすいウェアとの違いを詳しく解説します。ぜひご覧ください。
オーバーオールは作業着として生まれました。原型が誕生した1880年代後半から1900年代は定義が曖昧で、よだれかけ(胸当て)のついたズボンをオーバーオールと呼んでいたようです。その後、現在の形に落ち着いていき、日本では1970~1980年代に流行しました。
日本においては、オーバーオールを次のようなポイントで定義していることが多いようです。
胸当てがある
肩につり紐がある
背中側にも布がある
なお、アメリカでは胸当てがあるものをビブ・オーバーオール、胸当てがないものをウエスト・オーバーオール(waist overall)と呼ぶことがあるため、世界的な定義ではありません。
ここでは、オーバーオールならではの特徴を、より具体的に解説します。
オーバーオールの特徴として、ポケットやループなど収納ツールが多いことも挙げられます。具体的には次のような収納箇所があります。
胸元のポケットには、屈んだ時に物が落ちないよう、ファスナーやフラップが付いているものもあります。工具や文房具など、作業に必要な小物が多いときに役立つウェアです。
オーバーオールの特徴の一つであるつり紐には、基本的に長さ調節用のバックルが備わっています。これは、肩紐がサスペンダーを起源としていることに由来すると考えられます。
調節部分は金属製の吊りカンバックルや、おしゃれなボタンフックバックル、着脱しやすいプラスチック製のワンタッチバックルなど多様です。
長さ調節機能があれば体格に合わせやすく、セーターやパーカーなどの厚手のインナーと合わせるときにも役立ちます。
オーバーオールは動きやすさも魅力のひとつです。ゆったりとしたデザインのものが多く、特に脚部分が幅広に作られています。しゃがんだり立ち上がったりといった動作がスムーズに行えるのが特徴です。
また、伸縮性のあるストレッチ素材を使用したものや、足を大きく広げやすいカッティングを施したデザインのものも多くあります。
オールインワンは、「つなぎ」「ジャンプスーツ」「カバーオール」「コンビネゾン」などとも呼ばれます。「トップスとボトムスが一体化したもの」を指し、上半身を覆える構造です。袖も付いています。
上下一体型なのでコーディネートに悩む必要がないことや、中に着る服を汚れからしっかり守れる点が魅力です。
オーバーオールと比べると着脱しにくい点がデメリットですが、最近ではトイレ問題の対策としてウエスト部分にファスナーを備えた「ヒップオープンタイプ」も多く販売されています。
オーバーオール(overall)が英語であるのに対し、サロペット(salopette)はフランス語です。語圏による違いだけで、両者は同じ構造のウェアを指しています。
なお、日本においては、背中側に布があるものをオーバーオール、つり紐が背中でクロスしているものをサロペットと呼ぶことが多いようです。ただし、近年ではつり紐が背中でクロスしていないものもサロペットと呼ぶこともあります。
また、「サロペット」を商品名に採用している場合、作業着よりもファッションアイテムとして販売されている傾向がみられます。作業着なら「オーバーオール」、ファッションアイテムなら「サロペット」で探してみましょう。
オーバーオールのボトムが、パンツではなくスカートになったものを「ジャンパースカート」と呼びます。ボトム以外のつり紐や胸当てはオーバーオールと同じです。
ワンピースやエプロンドレスのように着用できるアイテムで、カジュアルかつワークテイストのあるファッションアイテムとして人気があります。
デッキパンツは船員の作業用パンツを原型とするアイテムです。アメリカ海軍が防寒用の作業パンツとして採用していたことでも知られています。
つり紐と胸当てが付いている点はオーバーオールとよく似ていますが、デッキパンツはシルエットがかなり太く、背面の布地も大きめなのが特徴です。
かなりゆったりとしたシルエットなので、オーバーオールよりもストリートテイストが強めのアイテムです。
作業着として人気のオーバーオールと、サロペットやオールインワンなど似たアイテムとの違いについて解説しました。
オーバーオールは、ゆったりとした作りで動きやすく、ポケットが多いため作業道具を持ち運びやすいのが特徴です。また、デニムなど耐久性のある素材が多く使われているため、アクティブな作業に適したアイテムです。
サロペットやデッキパンツなどの似たアイテムも存在しますが、それぞれの違いを意識することで、自分の理想に合ったデザインを見つけやすくなります。ぜひ、作業着選びの参考にしてみてください。